CISO が取締役会でランサムウェアについて熱心に行っている議論と、行うべき議論
今この瞬間、どこかの取締役会でランサムウェアについての状況報告が行われています。CISO が、実際に起きたこと、かかった費用、それに対して行われた対応を丁寧に説明しています。報告内容は正確です。ただし、本質を捉えているとはいえません。たいていの取締役会で行われるランサムウェアについての議論は、まず、インシデントの背景にあるシステムの話ではなく経営レベルの問題の話から始まります。出発点が間違っているのです。
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今この瞬間、どこかの取締役会でランサムウェアについての状況報告が行われています。CISO が、実際に起きたこと、かかった費用、それに対して行われた対応を丁寧に説明しています。報告内容は正確です。ただし、本質を捉えているとはいえません。たいていの取締役会で行われるランサムウェアについての議論は、まず、インシデントの背景にあるシステムの話ではなく経営レベルの問題の話から始まります。出発点が間違っているのです。
ランサムウェアについて最も重要な議論が行われる場所は、セキュリティ オペレーション センターではありません。それは取締役会です。
非常に多くの場合、ランサムウェアについての状況報告が始められるのは暗号化が行われているときです。それは既に攻撃の最終段階が行われているタイミングです。おそらく、初期アクセスは何週間も前に他者から購入されたものです。資格情報の収集は済んでいます。横移動による侵害拡大もひそかに済んでいます。組織は、いきなり標的にされるのではありません。世界には貴社のような組織に目をつけて食い物にする犯罪者の市場があり、1 つの産業が形成されているのです。
この認識は、取締役会が何に投資するかを左右する重要なことです。
取締役会の意識がエンドポイントで起きたことだけに向いていれば、自然と、被害発生後の回復策をどうするかが最優先の検討項目になります。もちろん回復策は深刻な問題です。しかし、攻撃者の背景にある経済構造は、回復策だけでは変わりません。先手のランサムウェア対策に取り組んでいる組織では、混乱の影響を最小限に食い止めることだけでなく、被害の発生以前に攻撃チェーンを断ち切るための投資が行われています。
ランサムウェアが成熟した犯罪産業にまで発展した今、この方針転換にはきわめて重要な意味があります。
高度な攻撃は、もはや高度な攻撃者だけが実行できるものではありません。初期アクセスは自動販売機でキャンディ バーを買うのと同じ手軽さで購入できます。サービスとしてのフィッシング プラットフォームは、ストリーミングやエンターテイメント サービスと同じようにサブスクリプション販売されています。悪意あるコードを正当なコードに偽装するマルウェア署名サービスも提供されています。AI によって、偵察、パーソナライズ、ソーシャル エンジニアリングまでを含めた侵入ライフサイクルの全段階が加速しています。
CISO が取締役会に最大の影響を及ぼす方法は、脅威についての説明をより詳しくすることではありません。ランサムウェアを経営的、経済的なリスクの問題として位置づけ直すことです。
以下は、その方法についてのお話です。
1. これは、単なるセキュリティ リスクではなくビジネス リスクの話です。
ランサムウェアは、業務運営のリスク、財務のリスク、評判のリスク、事業継続のリスクを同時に発生させます。取締役会はサプライ チェーンと市場のリスクを既によく知っていますが、ランサムウェアも、それらと同じ問題にほかなりません。その認識が共有されれば、命題は "いかにして早く回復するか" から "いかにして混乱の発生以前に露出を減らすか" へと移っていきます。両方とも重要なのは確かですが、前者では、攻撃の経済構造を変えることはできません。
ランサムウェアのエコシステムは、既に成熟市場の効率性に基づいて動いています。共有されたインフラストラクチャ、専門に特化したサービス プロバイダー、AI 対応のスパイ技術により、攻撃者のあらゆる段階における活動コストは低減されています。Microsoft が阻止した Fox Tempest の事例は、そのことを端的に示しています。これはランサムウェア アクターではありません。悪意あるペイロードを正当なものに偽装する共有インフラストラクチャであり、数百という数の犯罪組織に利用されていました。これを阻止したことには、生態系全体の能力を一度に低下させる効果がありました。防御する側も、被害の発生地点で防戦するだけでなく、攻撃者の間で共用されている上流のインフラストラクチャを狙う必要があります。
これについて先手の対策を取る組織では、ランサムウェアを展開前に阻止するための ID 保護、アクセス ブローカー検出、攻撃パスの可視化、継続的なインテリジェンス活動を重視し、それと並行して、被害発生時の回復を確実に行うためのレジリエンス投資を行っています。
すべての組織は、もれなく標的にされます。違いが出るポイントは侵入が起きるかどうかではなく、組織のビジネスに壊滅的な被害を発生させず、混乱の範囲を限定し、業務を回し続け、回復できるかどうかです。それを実現するには、事業継続とディザスター リカバリー (BCDR)、不変バックアップとセグメント化バックアップ、ID 封じ込め戦略、運用復旧テストへの投資が必要です。また、適切な測定を行うことも必須です。回復時間だけでなく、最初の侵害発生から封じ込めまでのタイムラグも把握しなくてはなりません。侵入がビジネスの危機となるかどうかは、その長さによって決まります。
取締役会はサプライ チェーンと市場のリスクを既によく知っていますが、ランサムウェアも、それらと同じ問題にほかなりません。その認識が共有されれば、命題は "いかにして早く回復するか" から "いかにして混乱の発生以前に露出を減らすか" へと移っていきます。
Microsoft は、サービスとしてのランサムウェアをめぐるエコシステムを 2020 年から追跡調査し、その情報を公開してきました。
2020 年において合理的だった対応戦略は、今となっては不十分です。したがって、取締役会が 2020 年の脅威情勢認識のまま議論を続けているのであれば、それも不十分です。
現在 Microsoft では、サイバー犯罪の情勢をリアルタイムでマッピングする作業を 9 月まで毎週実施し、協調的な犯罪エコシステム内で金銭的利益のために活動を展開する 65 以上の脅威アクターについて、当社の脅威アナリストの観測に基づくインテリジェンス情報を公開しています。Hot Cybercrime Summer は、まさにこの種のインテリジェンス情報を、セキュリティ リーダーの皆様が対応行動を取るために必要な表現、しかるべき人々に対応行動の必要資金供出を求めるために役立つ表現でお伝えするシリーズです。
是非、このシリーズをフォローしてください。そこで得た情報を次回の取締役会に持ち込み、話し合ってください。必要な地図は既にあります。あとは、あなたの組織がそれを活用するかどうかです。Microsoft Security ブログ | ランサムウェア脅威インテリジェンス
CISO はリスクの責任を一身に背負わされようとしています。取締役会は、そのリスクについて評価すべきデータをまだ持っていません。この断絶を埋めることは、セキュリティ リーダーができる最も重要なことの 1 つです。”
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