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Microsoft AI
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Microsoft AI Tour 産業別セッションレポート【流通・消費財】 〜生成 AI の発見から導入、そして成果へ〜 

2025 年 3 月 27 日、昨年に続き、Microsoft AI Tour が東京ビッグサイトで開催されました。この 1 年を振り返っても AI 技術の進化はめざましく、本イベントでも多くの先進事例が紹介されました。まさに「ビジョンをインパクトに変える。」というテーマどおり、AI によるイノベーションがあらゆる業界で成果をあげていることが実感できるイベントとなりました。 

基調講演にはマイクロソフト コーポレーション会長 兼 CEO のサティア・ナデラと日本マイクロソフト株式会社 代表取締役社長の津坂 美樹が登壇。マイクロソフトが見据える AI 時代の変革について発表を行いました。 

AI Tour 全般及び基調講演の紹介はビジネス全般へ 


流通・消費財業界向けブレイクアウト セッション 
「AI で実現するリテール バリューチェーンの収益最大化」 

A man standing in front of a large screen

流通・消費財業界向けのブレイクアウト セッションでは、日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 エンタープライズサービス事業本部 流通サービス統括本部長の河上 久子がファシリテーターを務め、セブン-イレブン・ジャパン、日清食品ホールディングス、そしてマイクロソフト本社からのゲストスピーカーが、各社における AI の活用事例と今後の展望について語りました。 

IDC 調査結果と流通・消費財における AI の潮流 

冒頭、河上はマイクロソフトが IDC(International Data Corporation)に依頼して実施した最新調査結果を紹介。生成 AI 導入率が 2023年の 55% から 2024 年 11 月時点で 75% にまで増加していると明かします。 

そして小売業界の事例として、オーストラリアの大手スーパーマーケットColes を紹介。AI モデルを活用して約 850 店舗での約 2 万種類の商品の流れを高い精度で予測しており、一日に 16 億件もの予測を行っていることが報告されました。 

河上は生成 AI 活用の流れとして、2023 年の ChatGPT4.0 のリリース以来、「発見」から「導入」を経て現在は「成果」に着目した取り組みが増えていることを指摘。今後さまざまな現場で実装されていくであろう AI エージェントへの期待も口にしました。 


セブン – イレブン・ジャパン様における生成 AI 活用事例 

株式会社セブン & アイ・ホールディングス 執行役員 最高情報責任者(CIO)兼 グループ DX 本部長、株式会社セブン – イレブン・ジャパン執行役員 システム本部長の西村 出氏は、データ・ドリブン文化を基盤とする同社の AI 活用の取り組みを紹介しました。 

「当社は毎朝ありとあらゆるデータを確認する文化を有しています」と西村氏は述べます。その文化の延長としてデータ・ドリブンな企業運営がなされており、現在同社ではデータ基盤「セブンセントラル」によって、すべての店舗の販売データがリアルタイムで蓄積される仕組みを構築しています。 

同社は生成 AI についても早い段階から使用する方針を打ち出し、「セブン – イレブン AI ライブラリー」と名付けられた独自のプラットフォームを開発。このプラットフォームに搭載されたマルチモーダル AI を駆使して、ドキュメントのチェックや問い合わせなどの対応業務や、商品開発に必要なマーケットの分析や実際の企画などが行われています。西村氏は「人間が考えるべきことに時間を費やせるようになっている」とその効果を評価します。 

また、Open AI の進化についても触れ、簡単なプロンプトでも適切な情報を引き出せるようになっていることを例示。同社でも非エンジニアの一般従業員による活用が進んでいることを紹介しました。

A group of people sitting in chairs in front of a large screen
株式会社セブン & アイ・ホールディングス 執行役員 最高情報責任者(CIO)兼 グループ DX 本部長
株式会社セブン – イレブン・ジャパン執行役員 システム本部長 西村 出氏

日清食品ホールディングス様における生成 AI 活用事例 

日清食品ホールディングス株式会社 執行役員・CIO の成田 敏博氏は、「日清デジタルアカデミー」という全社的なデジタル教育強化施策における、生成 AI を含めたデジタル スキル強化に向けた取り組みを紹介。「これからはアカデミーのあらゆる講座に生成 AI の要素を取り入れていく予定」と語り、生成 AI を重視する姿勢を強調しました。 

そして生成 AI 活用事例として「NISSHIN AI-chat」を紹介。導入後に利用者がなかなか増えないという壁にぶつかったものの、プロンプト テンプレートの横展開や社内報での告知活動などを進め、利用率の向上を実現されました。 

その経験をもとに、現在は Microsoft 365 Copilot の活用推進に力を入れていると成田氏は述べます。アーリーアダプターに Copilot を思う存分使ってもらえる環境をつくり、活用事例を広く紹介することで利用拡大を図りました。 

その結果、Microsoft 365 Copilot の利用率は約 85% に達し、ひとりあたりの削減時間は年間 79 時間を実現するなど、高い費用対効果を示しています。 

さらに同社では、AI エージェントを Azure 上に構築する取り組みをマイクロソフト と連携して進めているといいます。成田氏は、企業戦略立案における最新の AI モデルを活用したデモを行い、今後の更なる生成 AI 発展への期待を示しました。 

A man standing at a podium
日清食品ホールディングス株式会社 執行役員・CIO 成田 敏博氏

〜マイクロソフト本社 CVP によるパネル セッション〜 グローバル AI リテーリング企業の最新事情と流通事業者が AI を推進するためのインサイト 

最後に、マイクロソフト米国本社から、流通業を含むグローバル インダストリー ソリューションを担当しているシェリー・ブランステンが登壇し、グローバルの事例と日本企業の AI 活用促進に役立つインサイトを共有しました。 

シェリーは、流通・消費財業界で進む AI トランスフォーメーションの主な領域として 4 つのテーマを挙げ、それぞれのテーマに該当する事例を紹介しました。 

A group of people on a stage
1. 顧客体験の改革

カナダの小売業者、Canadian Tire は会話型コマースの導入に取り組んでいます。顧客は、同社が開発したパーソナルエージェントを利用すれば、タイヤの写真を撮影するだけで、適切な商品提案や予約、関連サービスに至るまでさまざまなサービス提供を受けることができます。

2. 従業員体験の向上

高級ブランドの CHANEL においては、AI を用いてオンラインで販売されている偽物の 70% を識別し、販売を防止する仕組みを構築。さらに生成 AI を活用して、店舗スタッフが顧客情報や商品在庫状況など、あらゆる情報をすぐに確認できる仕組みを構築しています。 

3. ビジネス プロセスの再構築

オランダに本拠を構える Ahold Delhaize では、食品廃棄物の半減を目標とした AI ソリューションを開発。AI による店舗の商品在庫予測を行うことで、食品廃棄物の量が劇的に減少し、利益率も改善されるという成果が得られています。

4. イノベーションの加速

イギリスに本社を置く消費財業者、Unilever とマイクロソフトは、量子コンピューティングに取り組んでいます。この取り組みにより、環境に優しい家庭用品ブランドの新製品開発において、新製品を市場に投入するまでにかかる時間を 50% 以上短縮する成果があがっています。

最後にシェリーは、AI トランスフォーメーションを推進するための 5 つのポイントを提示しました。

  1. ビジネス価値創造に注力 
  2. ガバナンス強化への投資
  3. 組織内のデータ・資産の整備
  4. 組織的な AI
  5. 責任ある AI の構築 

そして、これらの施策を経営陣が理解し、組織内のアーリーアダプターたちを全面的にサポートすることが重要であると述べてセッションを終了しました。 

河上は最後に、マイクロソフトの取り組みとして、IT / DX 部門向けワークショップの開催と、経営層向けの US・アジア地域での現地セッションを紹介。「マイクロソフトはこれからも、プライバシーとセキュリティを重視した AI 活用を通じて、日本の企業のお客さまの AI ジャーニーに伴走してまいります」と語り、セッション全体を締めくくりました。 


産業別 Connection Hub レポート【流通・消費財】 
One to One マーケティングとストア マネジメントを支援する生成 AI 活用 

A group of people at a convention

会場のほぼ中央には日本マイクロソフトの産業別 Connection Hubが設置され、産業ごとに生成 AI 活用のデモを展開。多くの来場者が足を止めて説明に聞き入っていました。 

流通・消費財業界向けの Hub では、生成 AI による顧客対応のデモと、店舗運用を支援する AI エージェント「ストア オペレーション エージェント」の活用デモが展示されていました。 

A man standing in front of a computer screen

顧客対応のデモでは、購入履歴や在庫などのあらゆるデータを読み込んだ生成 AI が、チャットで顧客ごとに的確な対応をする様子を展開。真の One to One マーケテイングが実現間近なことを予感させる内容でした。また、この仕組みは多言語対応により海外の顧客へもアプローチ可能で、音声での対応も考慮されているためアクセシビリティも向上させられます。EC サイトでの AI 活用の可能性も大きく広がりそうです。 

ストア オペレーション エージェントのデモでは、店舗スタッフからの問い合わせに対して、生成 AI がまるで店長のように的確な指示を出す様子が示されました。店舗スタッフが売り場からスマートフォンで操作でき、ヘッドセットから音声で問い合わせることも想定されています。業務に不慣れなスタッフでも質の高い接客ができる可能性を感じさせる内容でした。 

A large group of people in a large room

今回の記事を通じて、生成 AI や先端技術が流通・消費財業界にもたらす可能性についてどのような検討が進められているのか、理解を深めていただけたかと思います。 

生成 AI 活用への次のステップとして、ぜひ下記の関連情報をご参照ください。 

Microsoft AI Tour Tokyo イベント情報: 

Microsoft AI Tour Tokyoで発表した内容: 

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