【対談 参天製薬×日本マイクロソフト】マイクロソフトの生成 AI 技術が貢献する製薬 DX の未来
製薬業界では生成 AI の技術が研究・開発、製造・サプライチェーン、営業・マーケティングといったバリューチェーン全般に広く利用され始めています。
ビッグ・ファーマが生成 AI を活用した大幅な業務時間削減を報告するなど、その競争力への影響は目に見える形で表れてきています。
眼科領域のリーディングカンパニーとしてグローバルにビジネスを展開する参天製薬は、2025 年 5 月に 2029 年度までの中期経営計画を発表しました。「成長の加速」と「基盤の強化」を両輪とし、海外市場戦略や新規疾患領域への参入をはじめとする 6 つの主要イニシアチブを通じて前回の中期経営計画を超える収益数値目標に挑んでいます。
参天製薬の中期経営計画を支える DX 戦略の中でも、特に重要となるのが「生成 AI 活用の推進と高度化」です。2025 年 10 月、参天製薬は Microsoft 365 Copilot(以下:M365 Copilot)を全社導入し、先行導入していた Azure OpenAI Service をベースとした生成 AI サービス「Santen AI Chat」と共に、
マイクロソフトの生成 AI 技術で大きな成長と持続可能なビジネスの実現に取り組んでいます。
今回は、DX 推進の中枢にいる中田氏、武末氏、大東氏と日本マイクロソフト西脇による対談を通して、製薬業界における生成 AI 活用の現状と展望をご紹介します。

参天製薬の中期経営計画における DX 戦略
西脇 資哲(以下:西脇)
参天製薬さまは 2025 年から 2029 年までの中期経営計画を発表されました。前回の中期経営計画も早々と達成し、会社として成長を続ける中で、眼科領域のグローバルカンパニーとしてリーディングポジションを取っていくことを大きな目標として掲げられており、その内容も攻めの中期経営計画となっているようにお見受けします。一方で、守りの部分も当然必要かと思います。そこを IT でどのように担保していくか。中期経営計画を拝見すると、IT に関しては大きく 2 つのキーワードがありました。「データとセキュリティ」、そして「基盤」という表現、データ基盤や調達基盤というところが重要になってくるのかと思います。そういった中期経営計画を牽引、サポートしていくデジタル・IT 部門の中で、皆さんはどのような役割、お立場にいらっしゃいますか。
中田 大介氏(以下:中田氏)
私はチーフ デジタル & インフォメーション オフィサーとして、デジタルとITの両方を担当しています。製薬業界のみならず、あらゆる業界でデジタルと IT への依存度が高まっており、それらの重要性はますます増しています。事業基盤を継続的に強化しつつ、さらなる成長を実現していく中で、とにかくデジタルと IT に関わることは全て引き受ける――これが私のスタンスです。
武末 有香氏(以下:武末氏)
私は、中田の下でグローバルのデジタルイノベーションというチームをリードしています。私のチームは大きく 2 つあり、1つが生成 AI、RPA などを担当するデジタルソリューションチーム、もう 1 つがデータ分析のケイパビリティ強化を全面的に担うチームです。
大東 達也氏(以下:大東氏)
私は、武末の下にあるデジタルソリューションという生成 AI のチームでプロダクトマネジメントを担当しています。M365 Copilot をはじめとした生成 AI ソリューション一般の開発、導入、運用が主な領域です。
西脇
中田さんは、会社の株主総会や経営者会議などにご出席されているかと思いますが、中期経営計画における IT の関わり具合や役割は、最近どのくらい増えていますか?
中田氏
着実に増えていると感じており、この 1 年だけでも、その傾向は顕著だと感じています。例えば、ランサムウェアについては国内外で大規模な被害が相次ぎ、社会問題化しています。ビジネス継続のためにはデジタル・IT基盤の安定化を進める必要があり、「守り」の重要性は確実に高まっています。一方、「攻め」の観点についても、例えば AI がメディアで毎日のように取り上げられるように、非常に注目されています。当社では、「攻め」の取組みとして、特にデータ&アナリティクスと生成 AI にフォーカスして取り組んでいます。
西脇
データアナリティクスやデータの活用というのは、製薬会社の場合ですと具体的にどういうものが対象となりますか?
武末氏
製薬業界独自では無いですが、販売の領域で言えば CRM(顧客関係管理)はその 1 つですね。私たちのビジネスは 医師の処方を通じて患者さんにお薬をお届けする形が中心です。直接の顧客となる医療機関の医師の顔が見える距離感にありますが、一人ひとりの考えやニーズを MR やメディカル担当者とのやり取りだけでなく、データから正確に把握し、質の高いエンゲージメントを提供することがとても大切です。
西脇
なるほど。私も含めて、一般的な参天製薬さまのイメージは薬局で購入する目薬になると思うのですが、実際のポートフォリオは医療機関向けの処方箋薬がメインですよね。
武末氏
過去には MR がそれぞれの医師を理解しながら、ある意味感覚的に打ち手を考えてきました。それは今後も大切なのですが、加えてデータを活用していくことが重要だと考えています。例えば「複合的な情報から各医師の重要視する考え方を客観的に把握し最適なアプローチを導き出す」といった取り組みが顧客とのコミュニケーションの質を一段階引き上げることにつながると感じています。
大東氏
研究領域では一般的な実験レベルから、大きいものになると臨床研究に向けたバイオスタティックス(生物統計解析)にも活用されます。弊社でも治験結果の解析や薬の有効性の検証、適切な治験人数の設定などを、R&D 部門の下に置かれたデータサイエンスチームが担当しています。
中田氏
製造やサプライチェーン領域におけるデータ活用についても、現在、大規模なERP統合プロジェクトの一環として進めています。当社では、研究・開発から製造、販売にいたるまで、製薬バリューチェーンの全体を通してのデータ活用と、それによる効果の発揮に向けて取り組んでいるところです。
大東氏
最近は研究の結果だけでなく、その前段階として、そもそも研究の種を見つけるための AI 活用まで広がっています。創薬候補となる化合物について、これまでは何万個も作ってようやく一個当たるかどうかだった世界でしたが、その精度をもっと高めていけるようになる。その意味でも Microsoft Discovery(エージェント型研究開発を実現し、企業の R&D を支援するプラットフォーム)には凄く期待しています。
西脇
マイクロソフトの AI 技術が、参天製薬さまの中期経営計画に則った成長を支援できているというのはとても嬉しいです。データアナリティクスやデータ活用がバリューチェーン全体の力となる、「攻め」の部分で大きく成長を後押ししている、ということですね。では、もう一つの「守り」の部分になりますが、セキュリティ対策については今後どのように予定されていますか?
中田氏
セキュリティについては、ランサムウェアを用いたサイバー攻撃を含め、特に外部脅威に対する対策に重点を置いて取り組んでいます。グローバル全体のセキュリティを包括的に強化するロードマップを策定し、それに基づいてさまざまな強化策を進めています。また、私たちはサイバー攻撃も広義の災害と捉えており、災害対策や BCP (事業継続計画)にも重点を置いています。2024 年 1 月に能登半島で地震がありましたが、弊社の工場も影響を受けました。セキュリティを含め、災害対策やBCPを強化していくことで、安定供給など、事業基盤の継続的な強化に取り組んでいます。
西脇
自然災害や事故は起こるものと考え、その前提でどう対応し対策を取るか、ということですよね。IT が貢献できることも多い領域です。

製薬業界における生成 AI 活用の可能性
西脇
AI を活用するには、先に学び、情報収集しておく必要がありますが、皆さんの部門では、どのような準備や先行的な取り組みをされてきましたか?
中田氏
2024 年 4 月に、無料版の Copilotを全社的に利用できるようにしつつ、M365 Copilotのトライアルを開始しました。当時は、Azure OpenAI Service 上の「社内 ChatGPT」のクオリティが高かったので、同年12 月に Azure OpenAI Service をベースにした生成 AI サービス「Santen AI Chat」を導入しました。
西脇
その当時から現在で、M365 Copilot の評価はどのように変化していきましたか?
中田氏
2024 年 4 月当時は、M365 Copilotより Azure OpenAI Service の方がレスポンスのクオリティが良かったです。ただ、日を追うごとに M365 Copilot も機能が改善されていき、社内でも「便利だね」と評価する人たちが着実に増えていくのを感じていました。
西脇
M365 Copilot はチャットもありますが Teams や Outlook、Word、PowerPoint、Excel といったMicrosoft Office 製品に組み込まれています。参天製薬さまのインフラは Microsoft 365 になっているので、組み込まれているメリットはとても大きいと思います。
大東氏
私は 2024 年 4 月の最初の PoC から M365 Copilot を使っていて、約 1 年半になります。初期のチャットボット時代は LLM 性能比較で Santen AI Chatが強かったですが、今はエージェント的な動きが求められ、Microsoft 365 製品に組み込める M365 Copilot が圧倒的に優位です。最近は M365 Copilot をベースにしつつ、長文や即レスが欲しい時、推論モデルを直接叩きたい時に Santen AI Chat を使っています。
西脇
幅広いサービスの中から、皆さんが必要なものを選んで、会社の中にインプリメントできるということも一つのメリットですね。
中田氏
おっしゃる通りです。ただ、新しいツールについては、デジタル・IT 部門側が想定する使い方と一般社員の実際の使い方には大きなギャップが出ることがあります。多くの企業がさまざまな生成 AI サービスを提供していますが、弊社のような製造業の企業では、それらすべてを高いレベルで使いこなすことは現実的ではありません。だからこそ、できる限り統一された生成 AI サービスを用意し、それを使いこなしていくアプローチをとらないと、その活用による効果の発揮は難しいと考えています。弊社の場合は、統一されたサービスとしてM365 Copilot をグローバル全社員に提供するという選択をしました。
大東氏
実は、M365 Copilot 自体でも、新しい機能がいっぱいあって、今の中田の話と同じことが起きています。全部の機能を全社員に提供しても使いこなせないと思います。ですから「プレビュー機能も試してみたいけど、これはまだ早いよね」といったことが結構ありますね。
西脇
ここまで M365 Copilot の話がありましたが、他に Azure OpenAI Service をベースにした Santen AI Chat がある。これがわれわれから参天製薬さまに提供している生成 AI の領域ですが、少し広く捉えて、生成 AI 全般という視点で、製薬会社さんとしてはどんな期待をお持ちですか?
武末氏
生成 AI によって創薬から上市、そして薬を患者さんにお届けするまでのスピードが上がることは、患者さんや医療従事者にとって大きなメリットです。幅広い可能性の中からより良い薬を見つけられることに加え、最近よく言われる個別医療も進み、患者さん一人ひとりの特性に合った治療をより多く提供できる可能性が高まります。実現にはまだまだ課題はありますが、真のテーラーメイド医療が実現すれば、すべての患者さんにとってとても良い世界になると思います。
西脇
おっしゃる通りです。バリューチェーン全体でデリバリーが短縮され、顧客満足度や利益が向上します。業務効率化で、より多くの顧客と向き合えれば、特化した価値提供が可能です。生成 AI の LLM 比較にこだわる議論は、もはやあまり意味がありません。
中田氏
生成 AI の進化には追随する必要がありますが、まずは M365 Copilot の活用推進に集中していきたいと思っています。そのために、武末の配下には 2 つの組織があったのですが、11 月からさらに 1 つ増やしました。新しいデジタル・IT サービスを社内で定着させるチェンジマネジメントの専門部署です。
武末氏
この新しい部署の立ち上げにより、生成 AI 活用の普及と高度化を同時に実現しようとしています。今までは大東の所属しているデジタルソリューションチームが両方を担っていたのですが、推進と高度化では本来役割が異なるため、今回、組織のチェンジマネジメントを専門とする部署を作り、両輪で進めて行く体制にしました。

Microsoft 365 Copilot による変革を支える
コミットメントとチェンジマネジメント
西脇
M365 Copilot の全社導入はどのような計画で進めていったのか、また全社導入を決めた判断の基準はどこにありましたか?
大東氏
3 ヵ月の PoC を経て 2024 年 9 月に正式導入となりました。最初は 300 ライセンスでスタートし、そのうち IT 部門や IT 担当者が 100 人。残りの 200 人は地域と部門を横断するように、各ビジネス部門の IT 担当者に割り当て人数の枠で選定してもらいました。あとは推進担当から特に使って欲しい経営陣や経営企画などにも展開しました。
稼働率を見ても初期から常に 90%は超えていて、今期はほぼ 95%以上、最終的に 2025 年 9 月にはユーザー数も 600 人に増え、たまに 100%をマークしていました。管理用のダッシュボードを見ていても使用時間と使用数が着実に伸びているのが分かっていたので、手ごたえはありました。
西脇
ユーザーが 600 人ぐらいになると、いろんな部門の方々がお使いになっている状態ですよね。皆さんはどんな使い方をされていましたか?
大東氏
利用状況は Microsoft Viva Insights のダッシュボードで管理しているのですが、それによると Teams 会議が一番多くて、次が Outlook です。最近だと M365 Copilot や Web のチャットが会議と同じぐらい使われています。他にも地域ごとや部門単位で見られるようにしているので、このセクションのスタッフはまだ低いな、など稼働状況も把握できます。
武末氏
弊社はグローバルでビジネスを展開している事もあり、リモート環境がベースとなる為、日々のコミュニケーションには Teams が多く活用されています。その為 M365 Copilot との親和性がもともと高かった事もあり、導入後の利用効果はとても高いと感じています。
大東氏
一部の職種によっては、まだM365 Copilotの効果を実感できていないセクションもあります。M365 Copilot が便利で Microsoft 365 の利用が増える、そうして溜まったデータが M365 Copilot にフィードバックされ、M365 Copilot がさらに便利になるというサイクルを回していくことが重要です。
西脇
本当にその通りで、生成 AI を使うには、利用できるデータがなければ意味がありません。そのためにはインフラを整え、統一することが重要です。ところで、想定外の使い方や新しい発見はありましたか?
大東氏
エージェント ビルダーの活用例として、Outlook のメールは通常スレッド外参照ができませんが、「過去メールを踏まえて返信したい」という方がいて、自分の Outlook フォルダーを参照させ、過去のメール内容を基に返信文を作成するという使い方をされています。
西脇
Microsoft Graph の強みは、メール、チャット、予定表、会議、資料まで一元的に確認できる点です。この連携力こそマイクロソフトらしさだと思います。そのように皆さんが積極的に活用していく中で、いよいよ M365 Copilot の全社展開というご決断をされるわけですが、中田さんの背中を一番大きく押した要因はなんでしたか?
中田氏
一つを選ぶのは難しいですね。M365 Copilot の全社導入は、複数の要因を踏まえて総合的に判断しました。ただ、M365 Copilot のトライアルを続けてきた中で、利用者が着実に増えていき、またポジティブな声もだんだんと増えていったことが背中を推した要因の一つであったことは確かです。また、大東による新機能紹介も、私自身の確信につながりました。あと、自社で独自開発する場合は様々な制約により機能アップデートが滞るリスクがある一方、M365 Copilot なら最新機能を迅速に活用できるため、競争力強化に直結します。実は、当初の予定より 2 年ほど前倒しで全社導入することになったので、デジタルイノベーションのチームには大きな負担をかけてしまいましたが、長期的には合理的な選択だと判断しました。
西脇
最終的に、会社から全社導入の承認を得るための提示については、どのようにされたのですか?
中田氏
経営会議にてディスカッションをし、全社に導入して効果を出していこうという合意を得ました。費用対効果については、社内のヒアリング結果やマイクロソフトさんから提供されたデータ等から十分に出せると予測できましたが、それらの数値だけでは机上の空論に過ぎません。実際には、業務の効率化のみならず、人手不足の改善や委託業務の内製化、エンゲージメントの向上など、具体的成果に結びつけることが重要です。グローバル全体での生成 AI の活用推進やその効果の発揮について、経営陣から合意が得られたことは非常に大きかったと思います。また、その判断の前に全経営陣がM365 Copilot を利用していたことも大きな追い風になったと感じています。
西脇
トップの人間が新しい技術を使える状態にしておくって、とても大事なんですよね。少しでも使えば、やはり経営陣も興奮しますからね。
大東氏
生成 AI 導入の本来の価値とは、中長期的に一人一人の生産性、価値、スキルが拡張されることで、中長期的にトップラインが上がるという効果ですが、その因果関係が説明しづらいので、どうしてもボトムライン確保のための費用圧縮の議論になりがちなところが難しいですね。
西脇
ROI の議論は重要ですが、最終的には、経営陣の「これは良い」という評価に左右されます。全社導入後の施策についても伺いたいのですが、一般社員への訴求と利用促進はどのように進めるお考えですか?
武末氏
現在、各部門単位で生成 AI アンバサダーの選出を進めており、各部門長に任命を依頼しています。日々進化し続ける生成 AI の全社導入において、中央部門だけで推進することは難しいため、各部門にアンバサダーを置き、自律的に活用を促進できる体制を目指しています。
中田氏
良いと思うものはどんどん実行していく姿勢で取り組んでいます。例えば M365 Copilot を全社に展開されている企業からゲストを招き、多くの中間管理職を集めて、お話をしながらインプットやフィードバックを得られるようなセッションも行っています。
西脇
導入初期は、生成 AI に任せられない業務もあり、正しい使い方の習得が必要です。トレーニングや意識改革、チェンジマネジメントの重要性を強く感じています。全社導入後の進捗や成果は、どのような基準で評価しますか?
中田氏
大きく分けて 2 つのアプローチを考えています。1つ目は、生成 AI の活用状況を可視化し、誰が使えているか等を把握してさらなる活用推進に繋げることです。2 つ目は、生成 AI の活用によるビジネス影響を評価することです。定性的・定量的指標を両方用いる予定ですが、これは今後走りながら改善していきたいと考えています。
武末氏
それにひとつ加えると、今後評価すべき重要な項目の一つに「はたしてM365 Copilot はすべての職種にとって最適な生成 AI なのか?」という問いがあります。生成 AI の利用ニーズは、立場や職種、部門によって異なる為、場合によってはビジネス特有のニーズに応える AI エージェント等の方が向いているケースも出てくる可能性があります。引き続き活用状況とビジネスニーズを照らし合わせながら、最適な答えを探っていきたいと考えています。
西脇
個々の社内ユーザーとコミットできる評価も生成 AI 活用の促進には重要だと思いますが、この点ではどのようなフォーカスをお持ちですか?
大東氏
私がエンドユーザーに伝えているのは、生成 AI の目的は単なる生産性向上ではないということです。重要なのは、時間やスキル不足が原因でできなかった本来やりたかったことを、生成 AI で可能にすることです。空いた時間も本来の目的に使えるようにすることが大切で、できなかったことができるようになることで社員のエンゲージメントが高まる方が、単純な時間削減より価値があると考えています。

今後の展望
DX を推進する戦略的投資の 1 つが Microsoft 365 Copilot
西脇
今後、M365 Copilot、並びにマイクロソフトの AI 戦略で、どのようなことを期待されているかお聞かせください
中田氏
今後も、他社に負けないスピードでM365 Copilot をはじめとした生成 AI サービスを進化させ続けてほしい、と期待しています。ただ、どれだけ機能が優れていても、私たちのサイドが活用して業務に影響を与えないと、価値を発揮することはできません。よって、ツールとして進化させ続けるだけでなく、例えば他業界でこんな使い方をして価値を発揮している等の事例や、特に海外の先進的な取り組みについて、継続的に情報提供してもらいたいと思っています。
武末氏
一般社員の中には、生成 AI を難しいものやハードルが高いものだと考えている方もいると思います。私の願いは、一般の社員がIT やテクノロジーを意識せず、誰もが自然に生成 AI を使えるようになることです。生成 AI のチャット機能は自然言語を用いたやり取りで市民権を得ましたが、AI エージェントのような少し高度な機能になるとハードルが上がります。そうした機能も、普通に会話する感覚で使えるようになれば、社員は高度な機能を意識せず活用できる時代が来ると思います。ぜひ、その実現に取り組んでいただきたいです。
大東氏
製品目線では大きく2 つあります。ひとつはエージェントで、自立的にワークフォースとして使えるレベルを期待しています。半年から一年後には「私はいま AI エージェントの HR です」と言える状態になると考えているので、エージェントの活用度が注目ポイントです。もうひとつはドメイン特化型モデルです。ヘルスケアや研究、臨床など特定領域向けのモデルを Azure OpenAI Service 上で活用し、M365 Copilot だけでは対応できない部分をエージェントや特化モデルで補うようになると考えていますので、早くその段階に行けることを期待しています。
西脇
では最後に、眼科領域のリーディングカンパニーとして、DX を通じてどのように企業を変革していくのか、DX を統括する立場からの見解をお聞かせください。
中田氏
繰り返しになるかもしれませんが、事業基盤を継続的に強化しつつ、持続的な成長に貢献する両面的なDXに取り組んでいきたいと考えています。取り組みたいテーマは多々ありますが、「守り」と「攻め」のバランスを取りながら、優先すべき領域にメリハリをつけて投資する必要があります。そのひとつが、今回の M365 Copilot の全社導入なのですが、導入しておしまいという形にせず、その効果を着実に発揮し、中期経営計画の達成に貢献していきたいと考えています。
